【虹(主虹) Primary Rainbow】
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| 1999/8/21 7:00 仙丈ヶ岳 7合目 |
・なぜ光の輪になるのか?
虹は空中に浮かんでいる水滴に光が反射して起こりますが、水滴の表面で反射する光と、いったん水滴内部に入ってから反射して出ていく光があります。このうち水滴内部に入る光の経路を考えてみます。

図1 水滴内で反射する光の経路
図1は水滴に入る光の経路について書いたものです。水滴の中心から入った光は、反対側で反射し、そのまま入った方向へ戻っていきます。光の経路をを少しずつ中心から上にずらしてみると、反射して出ていく光は次第に下向きの角度が付いてきます。そして太線で書かれた光線のところまで、その角度は増加していきます。では、この太線の光よりも上側で入射した光はどうなるでしょうか?これらの光の経路を見てみると、今度は逆に下向きの角度が少なくなってきます。太線で書かれた光の経路の前後では角度の変化が少なくなり、この角度周辺では光が集中することになります。この太線で書かれた経路をたどる光をデカルト光と呼びます。上の図では水滴の上半分から入射した光について書かれていますが、実際には水滴の上下左右どの方向からも光は入射し、同じようにある角度に光が集中する現象が起こります。

図2 入射する光と出ていく光との角度
図2はデカルト光の経路です(赤色)。太陽光は左側から入り、屈折、反射、屈折を繰り返し左下に出ていきます。このときの偏角(最小偏角)は138°となります。さて、水滴の中を通った光は太陽の方向から138°曲げられる訳ですが、これではちょっとわかりにくいですね。対日点から考えると光の出ていく角度は、180°−138°ですから、42°になります。光は上下左右どの方向からも水滴に入り、出ていきますから、光の集中する角度も対日点から42°離れた上下左右どの方向にも現れることになります。つまり、対日点から視半径で42°離れたところを、光の輪がぐるりと取り囲むことになります。
・7色の光になる理由
光の輪が出来る事は説明出来ましたが、ではなぜあのような色彩が生まれるのでしょうか?これには波長による屈折率の違いが関わってきます。

図3 光の波長による偏角の違い
今までは赤色の光について考えてきましたが、他の色では波長が違うため屈折率が変わり、偏角も変わってきます。図3は赤と紫の光についてデカルト光の経路を書いたものです。これを見ると赤は対日点から42°、紫は40°の所に見える事を示しています。他の色はこの2色の間にそれぞれの波長にしたがって出てきます。

図4 実際の虹の場合
以上の事をふまえて、実際の虹はどのように見えているか考えてみます。図4は太陽の仰角が0°の場合です(実際にはなかなか見られない条件ですが、わかりやすくする為このようにしました)。この場合、対日点は地平線上(すなわち仰角0°のところ)にあります。そして空中に浮かんでいるすべての水滴に光が当たっているとします(図では4個だが、実際には無数にある)。赤い光は対日点から42°の視線方向にあるすべての水滴からの光が合わさったものです。紫も同様に対日点から40°の視線方向にあるすべての水滴からの光です。それぞれの水滴は太陽からの光をプリズムのように分光して虹の7色すべてを放っていますが、そのうち観測者の目に入る色はただ1色です。図上で点線で書かれた光は観測者の目に入る事はありません。
虹はひとつの水滴がプリズムとなって、どこかスクリーンに映し出されているようなイメージがありますが、実際には観測者から見て、円錐上の領域にあるたくさんの水滴が放つ光を直接見ていることになります。